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ホワイト弁護士かく語りき(法律新聞連載 第1回 11/30号)

若き法曹の皆様へ 「フェアネス講座第1回」

【ホワイト弁護士かく語りき】

弁護士は、いかに闘うべきか。弁護士会は、これをいかに支えるべきか。
Law支援の会代表 遠藤直哉
(弁護士法人フェアネス法律事務所代表弁護士・法学博士)

■ホワイト弁護士を目指そう・・・行列のできる弁護士へ

日本では悪徳弁護士という言葉があっても、ぴったりする反対語はありませんでした。そこで、これをブラック弁護士と言い、徳のある弁護士を、ホワイト弁護士と呼べば、世に分かりやすく広報できます。行列のできる弁護士とは、ホワイト弁護士のことです。広告や宣伝で、行列を作るようなことをしてはいけません。実力で勝負しましょう。現在では、法曹増員の結果、多くの懲戒事件が発生しております。若き法曹の皆様は、これに巻き込まれないようにホワイト弁護士を目指さなければなりません。第二東京弁護士会大川原栄弁護士は、ホワイト弁護団を作り「めざそう・ホワイト企業」を出版されました。ホワイト弁護団は、「ホワイト企業」を目指す企業の経営改善支援を行い、当該企業の中長期的経営の安定化を図ると共に、「ホワイト認証」を推進していくことにより、健全な企業活動による社会発展を目指す団体です。一般社団法人ホワイト認証推進機構をつくり、初代代表理事に元官房長官仙谷由人弁護士に就任いただきましたが、急逝されました。とりあえず名称の普及で、弁護士の分野に広げ、その遺志を継ぐこととします。ホワイト企業やホワイト弁護団という名称からは自然とホワイト弁護士という名称が浮かびました。Law支援の会は、ホワイト弁護士を育てるために、多くの若い法曹の皆様に呼びかけ、これを支援しております。谷間世代の支援も含めて、この講座で分かりやすく全国の若き法曹に訴えていきます。

■ブラック弁護士との闘い方・・・文書の隠匿・改ざんを追求しろ。

法曹増員によりいわゆる悪徳弁護士が増加しました。現在では、ブラック弁護士という方が反対語のホワイト弁護士との対比ができ、分かりやすいと言えます。ブラック弁護士とは、ニューリベラリズムな流れで法曹増員がされ、競争に敗れ、金銭トラブルになる者、さらに自由競争の中で勝ち抜けば報酬も自由にとって良いとの考えで、依頼者の利益や公益よりも、自分の報酬を高くすることを優先させる者です。もちろん、その程度が低い場合には、問題が生じませんが、往々にして相手方に対抗するために、無理をして文書を隠したり、改ざんすることもあります。医療過誤事件でのカルテについては、しばしば見られます。その他の事件でも、注意しないと相手方とその代理人弁護士により、騙されることになります。よって、求釈明や、文書提出命令を必ず提出する必要があります。仮に、相手方が保有していない、廃棄してしまったなどと抗弁しても、さらにその理由は何かと問い質して、しつこく、いつまでも追及しなくてはなりません。毎回のように必ず、実行するよう、心がけてください。

■ポチ弁護士の闘い方・・・現場百回

ポチ弁護士とは、テレビドラマリーガルVに出てくる新米弁護士のことです。司法修習終了したばかりの弁護士です。司法修習では、証拠探しを研修しません。文書提出命令もほとんど研修しないので、上記のような追及の仕方を身につけていません。ポチ弁護士は、ともかくこの文書提出命令を、徹底して身につけなければなりません。そのためには、依頼者の話をよく聞き、事実を把握することです。時系列表を作り、横書きで縦の流れを作り、横の関係図で相関関係を明らかにする必要があります。それを持って、必ず現場に行き、よく見る必要があります。自ら写真を撮って、略図に写真の方向を記します。その上でさらに依頼者の聞き取りを深めるべきです。現場百回とは警察官の作法を指します。弁護士も同じですが、実際には一回でよいでしょう。当然必要に応じて、再度行くことになります。

■民事裁判の闘い方・・・文書提出命令

日本では文書提出命令申立は、必要性なしとして却下されている状況が広く蔓延しております。裁判には、証拠が必要であるのに、なぜ却下されるのでしょうか。英米では、ほとんど全部の証拠を提出させるディスカバリー(証拠開示)があり、ドイツでは裁判官の職権による証拠提出命令が広く行われております。近代裁判の核である真実解明をすすめない日本の裁判官がいけないのでしょうか。約15年前の民事訴訟改正直後には、文書提出命令が認められていましたが、許可決定に対する抗告が相次いで、高裁に持ち込まれたため、裁判が遅延し、その後広く必要性なしとして却下することになりました。まさに裁判官の違法行為であり、裁判所は無法地帯と化しています。証人の採否と同じく、必要性については、抗告をすることができません。しかし、提出命令には抗告ができるので、この抗告が癌であることが明らかです。文書提出命令の決定に対する抗告は、必要有りません。直ちにこの悪法を改正し、裁判官も迅速に裁判を出来る体制にしなければなりません。しかし、日弁連は民事裁判改革の研究やシンポジウムを続けているにも関わらず、この最も重要な改善を取り上げておりません。皆で全国の弁護士会で抗告廃止の運動をしましょう。そして、現在のポチ弁護士に対する指導としては、必要と思われる文書をできるだけまとめて一回で決定を出させ、抗告も一回で済ませる方法しかない状況です。日本の弁護士が情報の偏在の中で、どれだけ苦労しているかはマスコミを含め社会では意外と知られておりません。弁護士会が大いに広報をしなければなりません。

■マスコミを使う闘い方・・・弁護士の社会的使命

 弁護士たる者は、依頼者のために争うと同時に、法の進歩の為に争う必要があります。弁護士法第1条でも、法律制度の改善を尽くす職務をうたっています。最近ローカル新聞の連載コラム「社会への提言」で次の記事を出し、テレビ朝日にも発送しました。

空家のゴミを撤去できるか?~テレビ朝日御中:リーガルVならどうする?~

 先日、テレビの番組で空家に大量のゴミが溢れて、周りの家の人達が困っているのでどうしたらよいか?との悩み事を取り上げていました。弁護士は、「家の中に入ると住居侵入罪の刑罰を受ける、ゴミを運び出すと窃盗罪になるし、損害賠償請求もされる。」などと、何もできないような回答をしていました。これでは困ります。リーガルVならどうするか。テレビ朝日では米倉涼子(ドクターX)の扮するリーガルVが大活躍です。聞いてみましょう。

(V)何言ってんのよ、周りの人が困ってるなら皆で捨てればいいのよ。

(ポチ弁護士)だって捕まりますよ。

(V)正当防衛と同じように、困って急いでいるときには緊急避難ができるのよ。正当な理由があれば建物に入ってよいと条文にも書いてあるよ。

(ポチ)確かに。だけど窃盗は?

(V)条文には、財物と書いてあるでしょ、金目の物よ。ゴミはタダ以下よ。写真をとって3人以上の証人を残しておけば大丈夫よ。

(ポチ)だけど、裁判をしないで自力救済でやるの?弁護士会に懲戒請求されて、戒告や業務停止、資格剥奪されるよ、やだ。

(V)私もう資格ないから。

(ポチ)僕は資格あるよ。今は僕が言うしかないのだから。

(V)私はそのようなケースで懲戒になったのよ、弁護士会が悪いのよ、闘わなければダメよ。

(ポチ)よし闘おう、住民のために。指導するぞ。だけど、暴力団絡みで資格剥奪と聞

いたけど違うの?

(V)あれはテレビ局の間違いよ。すぐ修正するようにと言っておいたわ。おもしろい展開になるわよ。暴力団に関係するのはブラック弁護士よ。私はホワイト弁護士よ。これを懲戒する方が間違っているのよ。

(私=往年のテレビ朝日「ばばこういちの納得いかないコーナー」の闘う解説者)そうですよ。最近では橋下弁護士や有名な学者弁護士まで懲戒になっています。弁護士会はブラックとホワイトの区別をつけられません。テレビを見てください。偉そうな顔した大物弁護士や裁判官と検察官が涼子ちゃんを虐めている姿を。ほんとに良くできたドラマです。ガンジー、ネル-、マンデラ、中国の弁護士は拘束されたり、獄死したり、資格剥奪をされてきました。日本でも同じことが起こっています。闘う弁護士、リーガルV頑張れ。

皆さんも頑張ってください!


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